一方で日本では戦い終えた選手の帰国ラッシュが続いている。ジャンプの高梨沙羅も伊藤有希も、スノーボードの平野歩夢も試合の2日後には日本にいた。
もう平昌にはいないだ。そう思うと何とももったいない気分になる。
五輪は4年に1度、競技の枠を超えて世界中の選手が集う祭典だ。競技力だけを競う世界選手権と違い、スポーツを通じた若者の交流が目的とされている。
選手村で他競技の選手と交友を深めたり、試合を応援に行くことで、まったく違った刺激を受け、自分に足りなかった何かに気づいたりもする。
競技や国籍の壁を超えた得難い体験ができる貴重な機会なのだ。
フィギュアスケーターの安藤美姫さんが、4年前の日刊スポーツにこう証言している。
「初出場のトリノは楽しむ余裕がなかった。でも次のバンクーバー大会は選手村での交流など楽しみが増えました。
違うスポーツ文化に触れると、自分の中に新鮮なものが入ってくる。そうしたら満足な演技もできたのです」。
一方でメダリストが選手団にいるだけで、チームに力がみなぎる。
88年ソウル五輪で競泳100メートル背泳ぎで金メダルを獲得した鈴木大地さん(現スポーツ庁長官)は、選手村で前回大会の柔道金メダリストでもあった斉藤仁さんから、
「お互いに頑張ろう」と声をかけられたことで、同士として認められたような気持ちになり、肩の力が抜けたという。
ふだん出会うことのない人と語り会い、異なった生きざまを胸に刻むことは、競技を終えた人生の糧にもなる。
リオ大会で金2、銅4と日本男子柔道を復活に導いた井上康生監督は、連覇を目指した04年アテネ五輪で惨敗した後、志願して現地に残り、大会後半の野球やシンクロ、ホッケーなどを会場で応援した。
ふだん触れるとのないチーム競技を見た、あの貴重な時間も今に生きているとは言えないだろうか。
競技人生の集大成の舞台。選手が自分の競技に集中するのは仕方のないことだ。経費の問題もある。1日も早く帰国したい選手もいるだろう。
だが、勝敗やメダルの色を超えたところに、真のオリンピックがあるのだ。指導者や選手団の幹部は、ぜひそれを選手たちにも伝えてほしい。【首藤正徳】
【日刊スポーツ】
羽生と小平の金メダルと、日本選手の帰国ラッシュ
https://www.nikkansports.com/olympic/pyeongchang2018/column/hyakkei/news/201802190000385.html
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Source: おもしろ韓国ニュース速報